BEHRINGER FLOW8 デジタルミキサー USBアイソレーターを使ってみた

なかなか音質も良くS/Nも高いFlow8ですので、WS/WGを使って色々な測定をしてみたいと思います。そうしたらPCーUSBーFlow8・PCーUSBーDAC・Flow8ーXLRーDACというループにしないとうまく測定できないことが分かりました。
これはグランドループと言って、電源ノイズなどを拾いやすくなり特性が悪化する接続方法です。

DACをSPDIF接続のみにすれば問題ないですが、USBもつながないと試験が十分にできないのでどうするかを悩んでいました。USBアイソレーターはUSB2.0ハイスピード対応だと2-3万します・・・。

よく考えたら、Flow8は24bit/48kHzが最大速度なので、フルスピード12Mbpsでれば大丈夫そうです。フルスピードであればリニアテクノロジーのLTM2884やアナログデバイスのADuM3160・4060などのICを使えそうです。

Amazonで安いADuM4160を使用した完成品を2,100円ほどで購入してみました。

最近の円安+部品不足で海外製品がじわじわと値段が上がってきています。FLOW8も部品が無いみたいな噂が聞こえてきました。

接続図

USB DACの測定をしたいので、DACとデジタルミキサー間にUSBケーブルでグランドループを作ってしまっています。
又、USB DACはバランス・アンバランス出力があるので両方を接続します。
各電源はACアダプターもしくはトランスでAC電源とアイソレーションされています。

購入結果

FLOW8はUSB2.0のハイスピードじゃないと、USB機器として全く認識できないようです。
SMSL M300MarkIIは24bit/96kHzまでは認識しました。

取説もないので、以下に簡単な内容を記載しときます。

左側がマイクロUSBでアップ側・右側がUSB-Aでダウン側になります。
上側のマイクロUSBが外部電源5V入力
左下のスイッチがLow/Highスピードの切替
右下が内部電源使用/外部電源使用の切替

Amazonで購入した物は、電源周りの電解コンデンサーやチョークなどが省略されていて、ノイズ的には今一な作りでした・・・コンデンサーなどを交換すればそこそこ使えそうではありますが。

新しいUSB フルスピード対応IC

これはダメだなということで、アナログデバイスやTIで探すと新しいICでフルスピード対応の物が出ていました。

アナログデバイスはADuM4165/ADuM4166という新しいICです。供給が今一みたいですが・・・
テキサスインスツルメントもISOUSB211というICを出しています。こちらも供給が難しそう・・・

ADuM4165/ADuM4166は外部クロックを供給できるみたいなので、安定化動作がより期待できそうなので取り寄せて実験してみたいと思います。

ADuM4165/ADuM4166仕様 アナログデバイスのHP参照

アップストリーム用が4166・ダウンストリーム用が4166のようです。今回はUSB接続機器用なのでダウンストリームを選びます。ミキサーで録音用ならアップストリームもありですね。

ADuM4166 Functional Block Diagram

最近はDanteの導入が多くなってきていますが、さすがに個人だと厳しすぎます・・・
物理層はLANそのもので個々のポートがアイソレーションされているので、こんな苦労もしません。
プロオーディオ用は今後Danteに向かっていきそうな気がします。

製品概要

  • USB 2.0信号でロースピード、フルスピード、ハイスピードの各接続を自動検出
    • 1.5Mbps、12Mbps、480Mbpsの各データ・レート
  • アップストリーム・ポートまたはダウンストリーム・ポート用双方向USBアイソレータ
    • リドライブと高速データ再タイミングにより、入力ジッタ除去とオープン・アイを提供
    • 柔軟なクロック入力オプション
  • 4.5V~5.5VのVBUSxまたは両側で3V~3.6Vの動作
    • アイドル状態、ロースピード、またはフルスピード・モード時の電源電流:21mA(代表値)
    • アイドル状態、ハイスピード・モード時の電源電流:48mA(代表値)
  • USB 2.0サスペンド(L2)または切断時に超低消費電力スタンバイ
    • 低消費電力スタンバイ時、アップストリーム電源電流:1.7mA(代表値)
    • 低消費電力スタンバイ時、ダウンストリーム電源電流:20μA(代表値)
  • 絶縁バリアをまたぐIEC 61000-4-2 ESD保護:±8000V
  • CISPR32/EN55032クラスBに適合
  • 高いコモンモード過渡耐圧:50kV/μs(代表値)
  • 安全性と規制に関する認定(申請中)
    • UL(申請中):5700V(実効値)で1分間、UL 1577規格に準拠
    • CSA Component Acceptance Notice 5A(申請中)
      • IEC 62368-1、IEC 61010-1、IEC60601‑1
    • VDE適合性認定(申請中)
      • DIN V VDE V 0884-11(VDE V 0884-11):2017-01
      • VIORM = 849VPEAK
  • 動作温度範囲:−55°C~+125°C
  • 沿面距離を増やして8.3mmの沿面距離およびクリアランスを確保した、20ピン、ワイド・ボディのSOIC_ICパッケージ

評価ボード EVAL-ADUM4166

ICと評価ボードを手配しました。7月出荷ですが・・・・
ダウンストリーム用には電源が必要なのでUSB-PD電源を使ってみます。

機能概要と利点

  • USB 2.0データ転送をサポート
    • ロースピード(1.5Mbps)
    • フルスピード(12Mbps)
    • ハイスピード(480Mbps)
  • 標準のUSBタイプAおよびタイプBコネクタ
  • アップストリーム5V電源:ケーブルまたは外部電源から
  • ダウンストリーム電源:外部電源から
  • 3.3Vまたは5Vの外部電源に対応
  • ダウンストリーム側のPGOOD(パワーグッド)インジケータ
  • 外部クロックのオプション接続
  • テスト・ポイント接続オプション
  • 20ピンSOIC_ICパッケージ・オプション(沿面距離8.3mm)

EVAL-ADuM4165EBZおよびEVAL-ADuM4166EBZを使用すると、追加部品なしでUSBホストやUSBペリフェラルに直接接続して、ADuM4165およびADuM4166 USBアイソレータを迅速かつ容易に評価できます。ADuM4165/ADuM4166は、アナログ・デバイセズのiCoupler®技術を採用し、アイソレータ・チャンネル、USBトランシーバー、電源回路とタイミング回路、コントロール・ロジックおよび内部終端、プルアップ、プルダウンを組み合わせ、沿面距離を増やした1つの20ピン、ワイド・ボディのSOIC_ICパッケージに集積しています。

この評価用ボードには、アイソレータの両側に別々のグラウンド・プレーンと電源プレーンがあります。この分離によって、デバイスの両側を電気的に絶縁してADuM4165/ADuM4166を評価できます。ただし、高電圧使用時の安全性は認定されていないため、テストは有資格の担当者が実行する必要があります。

アップストリーム側の電力は接続されたUSBホストから提供できますが、ダウンストリーム側には外部電源が必要です。

ADuM4165/ADuM4166の詳細については、ADuM4165/ADuM4166のデータシートを参照してください。EVAL-ADuM4165EBZまたはEVAL-ADuM4166EBZを使用する際は、データシートと併せてこのユーザ・ガイドを参照してください。

まとめ

これで本格的に安価にUSB2.0のアイソレーターができます。待ち遠しい!

2022/5/24追記
評価ボードの在庫が出てきたので、もしかすると早く到着するかもしれません!

コメント