出力LPFのインダクタの巻数を削減して高音質にしたいなと思い、既存フェライトコア・ファインメットコア・アモルファスコア・アモビーズの試験をしてみました。今回用意できたアモルファスコアの周波特性が素直だったので交換したら、よりクリアーな音質になりました。
2022/10追記:使用したアモルファスコアは高周波特性が悪いみたいで、発熱がすごいので中止しました。
最新機種はA07maxになっており、色々改善されていますのでこちらをお勧めします。
検討
音声帯域での使用になりますので、100kHzでのインダクタンスを基準に考えていきます。
トロイダルコア vs サガミエレク7G14C
こちらは,10uH・4.7uHを使用して以前に比較しています。
最終的には既存のトロイダルコアを7uHにしたものが良い感じになりました。
トロイダルコア vs 空芯コア
磁束漏れが少ないトロイダルコア > 磁束漏れが多い空芯コア
巻き線数 フェライト30程度 > 空芯コア 300程度
ということで、空芯コアは巻き線の抵抗が多い。磁界が外に出るので他のインダクタに干渉する。
巻き数が多くなるので1.2mm以上の線が必要。
という欠点があり使用を諦めました。
入手性からトロイダル構造のインダクタにします。
トロイダルコアの材質による検討
ファインメット
ファインメット系で手に入ったのは、電源用のチョーク(FT3K50TF1613Y)だったので、高透磁率すぎ1ターンで8uHもありました。又、100kHzで急激にインダクタンスが下がるため、600kHzのデジタルアンプのフィルター用には使えませんでした。
1個2k以上する高価な物は買いたくないので諦めました。
アモルファスコア
こちらも通常では手に入りにくいのですが、安売りしていた75uHのアモルファスコアのコモンモードチョークが、巻き数から見ると透磁率が比較的低そうだったので、巻き戻して普通のインダクタにしました。30-40ターンの8uHフェライトコアに比べて7ターンで同容量でしたので期待できそうです。
アモビーズ
おまけでアモビーズも測定 1ターンで100Hz/41uHもあります。
やはり、電源用ですね。
測定
データがないインダクタが多いので、実測することにしました。
使うのはいつものDE-5000です。LCRが測定出来て100Hz-100kHzまでポイントで測れるので簡易型としては優秀です。
既存インダクタ 8uHに改造(巻き戻し)
ファインメット 2ターン
アモルファス 8ターン
アモビーズ 1ターン
測定結果まとめ
実験結果を以下にまとめます。初期値が異なりますが、10kHz以上のインダクタンスを見るとファインメット・アモビーズともに周波数が上がるとインダクタンスが低下するため、600kHzのスイッチング周波数を落とすには不向きです。
今回は、仕様が不明なアモルファスコモンモードインダクタを巻き戻して使います。
購入したファインメットコアはACでのチョークとしては有用ですので、電源部のチョークとして使用したいと思います。
実装視聴
コモンモードチョークをこのようにばらしていきます。
接着剤で固められているので、苦労しました・・・
100kHz・8uH
8uH/7ターンのアモルファスインダクタで視聴します。
一皮剥けた音質でクリアーさが増しました。あまり変わらないかなと思っていたのでびっくりです。
しかし、インダクタンスがスイッチング周波数近辺で減っているようで、トロイダルコア温度が40℃くらいに上昇します。
100kHz・16uH
今は出力側のコンデンサも減らしているため、できればインダクタの容量を増やして、エミッション(EMI:Electromagnetic Interference)もCISPR(国際無線障害特別委員会)規格内に入るようにしたいと思い11ターンのインダクタに交換。
8uHに比べて音質が低下すると思ったのですが、視聴している限りは音質低下は感じませんでした。
ということで、この容量で決定します。
この容量でのTI謹製エクセルファイルでの出力特性は、以下の通りで家のインピーダンス6Ωのスピーカーは緑線・8Ωだと黄色線ですので素直な特性です。400kHzで-40dB以下の減衰を確保できているので、元のフィルタより高性能になりました。
まとめ
もう終わりにしようと思っていたAIYIMA A07の改造ですが、又改造してしまいました。
いじれば色々改善の余地はあるのですね。
次回は周波数特性なども測定したいと思います。
注意事項
改造行為はある程度以上の道具と熟練度が必要ですので、電気やハンダ付けの知識がない人にはお勧めできません。
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