昨日、江川さん宅に訪問させていただき素晴らしいオーディオを視聴させていただきました。今回改造したAIYIMA A07を持ち込んで動かしてみましたが、特定の周波数に歪が感じられました。家ではあまり感じなかったので、疑問に思いLTC6227のアプリケーションノートをよく見ると使い方が間違っていたのを発見しちゃいました・・・・
LTC6227
素晴らしいスペックなのですが、700mV以上の入力を入れるとクリップし歪み始めるようで、通常のオペアンプみたいに1-3Vp-pを突っ込むとダメダメでした・・・
家はニアフィールドでの視聴のため、入力を絞っていたので気が付かなかったみたいです。
以下はLTC6227データーシートより抜粋した内容です。少し専門的になりますが、ご容赦ください。
回路の説明
LTC6226/LTC6227の入力信号範囲は、負の電源電圧から正の電源電圧より1.2V低い電圧までの範囲にわたります。
アンプの簡略回路図を図1に示します。
入力段はPNPトランジスタQ1およびQ2で構成されています。ブートストラップ・トランジスタQ13は、Q11およびQ12のベース電流によるオフセットへの影響を低減することにより、DC精度を向上します。これは、Q13のコレクタ電流がQ11およびQ12のコレクタ電流の2倍であるからで、したがってQ11/Q12の電流マッチングはトランジスタのβとは無関係になります。
また、ブートストラップ配置が出力インピーダンスを向上することにより、ゲインも高くなります。1対の相補的な共通エミッタ段(Q15およびQ14)により、出力振幅をレールtoレールにすることができます。
SHDNインターフェース・ブロックは、SHDN信号をpwr_dnに変換して、(電流源I1~I4を非動作状態にすることにより)デバイスの電源を遮断し、(M2およびM1を介してQ15/Q14のベースを電源に短絡することにより)出力を高インピーダンス状態にします。
アプリケーション情報
出力
LTC6226ファミリは優れた出力駆動能力を備えています。
このアンプは、通常は10Vの全電源電圧で50mAを超える出力駆動電流を供給可能であり、通常は25mAの負荷電流でレールから600mV以内の振幅を実現します。
アンプの電源電圧が下がるにつれて、出力電流も小さくなります。出力が短絡し続けている場合は、デバイスのジャンクション温度を150°C未満(消費電力のセクションを参照)に抑えるように注意する必要があります。
アンプの出力と各電源との間には、逆バイアスされたダイオードが接続されています。いずれかの電源を超える電圧を出力から強制的に発生させると、極めて大量の電流がこれらのダイオードを流れ、デバイスが損傷することがあります。いずれかの電源電圧を1V超える電圧を出力から強制的に発生させると、いずれかのダイオードに数百mAの電流が流れる可能性があります。
したがって、電源電圧を超える電圧を出力から強制的に発生させることは避けてください。
入力保護
LTC6226/LTC6227は、入力トランジスタのエミッタとベース間のブレークダウンを防ぎ、差動入力を±700mVまでに制限する、1対のバック・ツー・バック・ダイオード(D5およびD7)を備えています。
他の多くの高性能アンプとは異なり、入力ペア・トランジスタQ1およびQ2のベースは、内部抵抗
を使用して入力電流を制限するピンには接続されていません。
接続するとノイズが増えるからです。
例えば、各入力に1個の100Ω抵抗を直列に接続すると、1.8nV/㲋Hzのノイズが発生し、アンプの総ノイズ電圧は1nV/㲋Hzから2.06nV/㲋Hzに上昇します。入力差動電圧が±0.7Vを超えたら、保護ダイオードに流れる電流を±10mAまでに制限する必要があります。
これは、±0.7Vを1/4V(250mV)超えるごとに25Ωの保護抵抗が必要になることを意味します。
また、入力ピンおよびシャットダウン・ピンと電源の間には、逆バイアスされたダイオードが接続されています。
これらのダイオードに流れる電流は、10mA未満に制限する必要があります。
このアンプをコンパレータやその他のオープンループ・アプリケーションに使用することはできません。
ESD
図1に示すように、LTC6226ファミリの全ての入力には、逆バイアスされたESD保護ダイオードがあります。正電源と負電源の間には、ESD放電時にデバイスを更に保護する追加クランプがあります。
このデバイスを通電中のソケットに挿入すると、クランプがトリガされて電源ピン間に大電流が流れることがあるため、ホット・プラグ操作は避ける必要があります。
容量性負荷
LTC6226/LTC6227は広帯域幅のアプリケーション向けに最適化されており、容量性負荷を直接駆動する用途向けには設計されていません。したがって、出力のパターン容量はできるだけ小さくなるようにしてください。出力の容量が増えると、オープンループの周波数応答に余計なポールが発生して、位相余裕が減少します。容量性負荷を駆動する場合は、リンギングや発振を防ぐために、アンプの出力と容量性負荷の間に10Ω~100Ωの抵抗を接続する必要があります。
帰還信号はアンプの出力から直接取る必要があります。電圧ゲインが大きい構成では、クローズドループ帯域幅が狭くなって位相余裕が増加するため、ゲインが小さい構成よりも容量性負荷の駆動能力が向上する傾向があります。オーバーシュートと容量性負荷のグラフは、各種の直列抵抗を使用して容量性負荷を駆動したときのアンプの過渡応答を示しています。
ということで、アンプのバッファー的に使うのはNGでした・・・。
残念ながら本来の目的に使うことにします。
LM4562
昨日、NFJさんよりLM4562が届き交換して視聴しました。最近は玉が少なくなり少々値上がりしていますが、まだ安めのオペアンプになります。
NE5532と大きくはかわりませんが全体的に元気な鳴り方で、立ち上がりが早い音です。
LTC6227で感じた歪は無くなりました。
仕様抜粋
チャネル数 : 2
総供給電圧 (最小) (+5V=5、+/-5V=10): 5
総供給電圧 (最大) (+5V=5、+/-5V=10) :34
GBW (標準) (MHz) :55
スルーレート (標準) (V/us): 20
Vos (オフセット電圧 @ 25 C) (最大) (mV) :0.7
チャネルあたりの Iq (標準) (mA): 5
Vn at 1 kHz (標準) (nV/rtHz): 2.7
THD + N @ 1 kHz (標準) (%): 0.00003
最近の高速・ハイスルーレート・低ノイズのオペアンプと比べると落ちますが、今でも十分な性能を持っていると思います。LME49720とスペックが同じなので、回路が同じといううわさもあります。
使用電圧も5-34Vまで対応しているので使いやすいです。
TL072
パーツボックスを漁っていたらTL072を見つけました。こちらはJFET入力タイプのオペアンプです。
初代JFET入力オペアンプLF356を改良して作られました。1980年前後だったと思います。使いやすいオペアンプでした。しかし、音が悪いという噂もあり、ぱっとしませんでしたが今回聴いてみたら聴きごたえ十分です。
性能も当時トップクラスで安かったのですが、NE5532に比べれば隠れた存在です。
こちらも@30-50円で購入できるので、パーツボックスの中に入れておくのも良いのではないでしょうか。このICも20年くらい前に購入した物だと思います。
仕様抜粋
高スルーレート: 20 V/µs (TL07xH、標準)
低オフセット電圧: 1 mV (TL07xH、標準)
低オフセット電圧ドリフト: 2 µV/°C
低消費電力: 940 µA/ch (TL07xH、typ)
低ノイズ: f = 1 kHz でV n = 18 nV/√ Hz (標準)
低全高調波歪み: 0.003% (typ)
広い電源電圧: ±2.25 V ~ ±20 V、4.5 V ~ 40 V
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まとめ
期待して投入したLTC6227でしたが、使い方を間違えてせいで残念な結果になりました。
低レベル入力での音は良かったので、マイクアンプなどに使うと性能が発揮できそうです。
TL72も良い音で鳴るので、試してみる価値があると思います。
注意事項
改造行為はある程度以上の道具と熟練度が必要ですので、電気やハンダ付けの知識がない人にはお勧めできません。
関連記事は、右上部にある検索で「A07」などと入れると記事が出てきますので、検索していただくと幸いです。
NFJさんから着荷品
本日、NFJさんより荷物が届きました。
少しチープな感じですが、特に問題はなさそうです。
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