中華 偽デテントボリュームが本物より優秀だった

ALiexpressで購入したデテントボリュームもどきを購入して簡単に測定してみました。
本物はクリック付きの可変抵抗ですが、中華製は22回路のローターリースイッチで固定抵抗を切り替えるようになっています。

今回Aliexpressから購入した50kΩA型ボリューム・100k/250kもあります。
Amazonでも売ってますが、3-4倍の値段で、ほとんど中国発送・・・・

現物確認

今回は2か所のお店から購入しました。そうすると配送がアップグレードされて早く着きます。出荷時期が異なるとダメですが・・・

そのままビニール袋に入れたやつが来たので、足が曲がっています・・・
品番シールは異なりますが、同じRH2702です。測定してもほぼ同一で、シール以外は全く同じものでした。ALPSとか書いてある物もありますが、この品番はアルプスにはありません・・・

触ると、グリースでベタベタしています・・・・IPAでお掃除しました。
テスターで簡易測定すると、前後の抵抗値はほぼ一緒で優秀です。

細かい抵抗値の差を確認するために、テスターではなくLCRメーターで測定します。
このDE-5000だとケルビン測定法で測定できるので誤差は少なくなります。周波数も切り替えて測定できるので、インピーダンスなども周波数ごとに見れます。

DER Ee
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各スイッチの位置での測定値とグラフになります。小数点2桁で有効値を出したので、誤差が多少出ていますが、最大でも0.25%で優秀です。金属皮膜抵抗の0.5%か0.1%級を使っていると思われます。
Aカーブも綺麗なカーブになっています。

クリック感など

クリック感は、ALPSのデテントボリュームのほうが高級感はありますが、そんなに悪くないかなというところです。

ロータリースイッチはON-OFF-ONタイプではなく、ON-ONタイプなのでノイズは出なそうです。

分解・構造

追記
軸の太さが元のデテントボリュームより太いとの話がありました。ALPSの本家は軸径8mmですが、こちらは9mmになります。

2022/12/16修正
分解できました!後ろ蓋を開けようと四苦八苦していたのですが、2本の2mmのネジを外して、手前の足の所からヘラを入れて軽くこじれば外れます。

裏蓋は外れないようです。

抵抗はE96シリーズです。SMDのE96だとE24と標記の仕方が違うので、以下の記事を参考にしてください。
抵抗が直列に入るので、最大21個が直列に入ります。ここは改造して1個しか入らないようにしたいですね。

摺動子は板バネがスライドしていくタイプです。基板側は金メッキしてありました。
接触部のパターンが斜めになっているのでON-ONタイプです。

止金具は角軸用のプッシュナットです。これならヘラで爪を起こせば外れます。最初にめいっぱいボリュームを回して位置を覚えておきます。

分解するには、長いほうのプッシュナットの爪をちょっとだけ起こします。
全部起こすと飛んでいくので慎重に!

ミネシマのヘラで少しずつ外します。ここも慎重に

取れました。

摺動子は切替側3段で、反対側に中心とのコンタクトがあります。

基板は金クラッドのようです。斜めになっている部分で両方接触して、ON-ONになっています。
接触部にはごく薄くグリース(スーパールブ)を塗ります。接点の腐食防止とすり減り軽減になります。

クリックはパネル部の板バネで行っていました。グリースでベタベタです。

前後のボリュームが結合しないようにシールド板も入っていました。
結構きちっとしています。

元々のグリースはIPAで洗浄して、グリースはスーパールブを入れます。変なグリースだと後で硬化したりしますので・・・

分解したら基板のカスが内部に結構ありました。このカスが接点に付くと問題が起きそうなので、綺麗に取って、全体をIPAで洗浄します。使う道具は静電防止ブラシとキムワイプが良いです。

プッシュナットは均一に押し込まないと接触不良を起こすかもしれないので、5.5mmのナット回しを使って押し込みました。

最初に撮った写真の位置まで押し込みます。

後は後ろのカバーを付けてねじを取り付けます。
テスターで抵抗値を測定して問題なければ完了です。

スーパールブでクリック感が軽くなり気持ちよく動くようになりました。

使用工具

ヘラ
ミネシマを使っています。薄いヘラはプラの爪を起こすときに使います。
今回は太目のヘラで起こしました。

ミネシマ(Mineshima)
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2mm(00番)のドライバー

5.5mmのナット回し

グリース
接点保護と潤滑に使います。プラスチックも侵さず、食品グレードで接点保護にも使えます。
私はちょう度2が良い感じです。(ちょう度はグリースの固さで2は柔らかめ)

まとめ

中華の偽ボリュームなのであまり期待しないで購入してみましたが、優秀なのでびっくりしました。
構造的にロータリースイッチ部はあまり強度はなさそうですが、送料込みで700円もしないで購入できるのは素晴らしいです。

0.5%以下の精度の抵抗だと、金属皮膜しかないと思われるので音質的にも良さそうです。
もしかするとロットで購入した抵抗は、抵抗間での差が少ないので、1%くらいの抵抗かもしれません。
できれば分解して金メッキしたり、段階式ATTを直接切替式にしたいなと思っています。

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