キャノン(XLR)コネクターの硫化還元・金メッキ ケーブル作成

残していたキャノンコネクターでケーブルを作成しようと思ったら、メッキの銀が硫化して黒くなっていたので、黒い部分をベーキングパウダー(ホントは重曹のほうがいいのですが無かったので)で還元してみました。
そこそこ綺麗になったので、金メッキしてケーブル作成です。

上側がキャノンコネクターのペア

キャノンコネクターは昔から、仕様が全く変わりません。上の20年以上前のコネクターと品番も同一でした。流石です。

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ケーブルは前の構成と同じく、カナレ L4E6S(ブラック) を使います。
サウンドハウスさんだと、切売りが安いです。

コネクター分解

まずはコネクターを分解します。2.5mmのプラスドライバーでネジを外していきます。

オス側の根元が黒く硫化しています・・・

オス側は簡単にボディから外れたのですが、メス側が取れません・・・・

これは荒治療しかないです。傷つかないようにプライヤーにゴムを張って取り外します。

上下にぐりぐりしながら、引っ張りまくります。少しづつズレていきます。

硬くて苦労しましたが何とか外れました。メス側の根元も硫化しています。

オス側は固い普通のプラスチック系の素材ですが、メス側は合成ゴムでできています。20年以上たっても柔らかさを失わないのは素晴らしいです。合成ゴムは振動吸収を狙っているようなのですが、キャノンコネクターの接触不良が少ないのは、この柔らかさで微細なずれを修正しているからかもしれません。
もしそうなら、サウンドハウスのコネクターは両方硬いので、今一かもしれません。

端子の還元

端子の根元が黒くなっています。オスメスをペアにして繋げたまま保存していたので、根元だけでしたが、このままだとハンダ付けや接触不良の可能性があるので綺麗にしていきます。

最初はIPAで拭けば硫化部分は軽く取れると思ったのですが、あまり取れず・・・・
削っちゃう手もありますが、金メッキするので元の銀をなるべく残したいと思い、還元していきたいと思います。
昔、銀のアクセサリーでうまくいった硫化還元を試してみます。

還元の原理

銀の硫化とは

銀は空気中の微量の硫化水素と結合して黒色の硫化銀になります。
硫化銀は電気を通しにくいので、コンタクト部では接触不良の原因や、部品への硫化銀の侵入による割れが発生し不良となる場合が多いです。

この黒くなった硫化銀を銀に戻すためには、銀から硫黄を引きはがせば、銀に戻るというわけです。銀より硫化しやすいアルミニウムと触媒として炭酸水素ナトリウム(重曹)とお湯で、還元反応を起こすことができます。

還元の実施

用意するもの

・アルミホイル
・重曹(今回は家になかったのでベーキングパウダー使用)
・お湯に耐えられるプラスチック製の容器(食洗器対応の物ならOK)
・お湯

作業

重曹のほうが良かったのですが家に無かったので、炭酸水素ナトリウム25%のベーキングパウダーを使用

耐熱のタッパウエアーにアルミホイルを敷いて準備

ベーキングパウダーを振りかける。適当に入れてます。

熱湯を注ぐ。やばいくらい泡立ちます。

30分以上放置 アルミホイルとの距離が近いほうが良いので、混ぜた後は包んだほうが良いですね。

軽く水洗いしている最中 少し硫化部分が残っています・・・
2回目を行えば、もっと良くなりそうでしたが今回は面倒なのでここで還元は終わりにします。

中性洗剤で洗浄して強制的にドライヤーなどで乾かします。

乾かした後、隙間に水が残っているのでIPAを注ぎ、水と親和させます。
それで又強制乾燥と思ったのですが、分解できそうなのでもっと分解しました。

むりやりプライヤーでステンレス部分を引っ張ったら抜けました。
最初からこのようにすればよかった・・・
メス側はコンタクト部が中に入っているので、洗浄は超音波洗浄器を使ったほうが良いです。

平ばねでロック部分を抑えているだけの単純な構造です。

ここまで組み立てロック部分を押し込んで、カバー部を押し込んだら完了

金メッキを実施

前回、金メッキしたパターンと同様です。

細かいところを金メッキするので、保液用のフェルトを斜めにカット

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電気メッキなので、ワニ口クリップを付けてメッキ開始

メッキ完了 

この後、超音波洗浄機で洗って乾かします。

このようにすればXLRコネクターも生き返ります!
ゴムとかプラスチックがダメになっていると難しいですが・・・
ンダ付けされている使用中のコネクターの場合は、長期使用でハンダは痩せて、酸化して脆くなってますし、剥いてあるケーブルも酸化膜で傷んでいるので、ハンダを取って還元・金メッキ後、ケーブルも切り戻せば復活すると思います。

ケーブル作成

後は通常通りケーブルを作成していきます。

ケーブル保護ゴム・金具・黒いチューブを通しておきます。

ケーブル端末処理

コネクター端子・ケーブルに予備ハンダ

長さを合わせてカット

GND側には熱収縮チューブを被せておきます。メス側はセパレーターが付いているのでハンダ付けしやすい。

ハンダ完了

黒いチューブを端子部に被せて

金具を押し込みます。ネジ穴が中央になるように
先にケーブル抑えゴムを入れてからケーブルを通すのを失念していて苦労しました・・・

ネジロックを薄くたらし、菊座を入れて締めます。
ネジロックしていないケーブルはネジが無くなったりしますので、キャノンコネクターの場合はネジロックは必ず行いましょう。

ケーブル抑えも同様にネジロック

少し多めだったので、チリ紙などで吸取りました。(写真は吸取る前)

完成(オス側も同様な作業なので割愛)
テスターで1→1・2→2・3→3の導通を確認し、各々のケーブルのショートも確認します。

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まとめ

プロの方はこのような作業はしないで新品交換だと思いますが、参考までにどこまで戻るかを実験してみました。自宅で使うには十分ではないかと思います。
メッキ工房ではフェルトにメッキ液を染み込ませて使うので、メス側のコネクターにはメッキできませんが、別途金メッキ液を作って、メス側にもメッキできるように準備中です。
ケーブルが出来ちゃうと面倒で後回しになっちゃいますが・・・

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