昔USBケーブルを自作しようと思い、単線で撚ってインピーダンスを90Ωにしたかったのですが、色々探して試しても良い材質のやつがなく、あきらめかけていたのですが、Aliexpressで見つけたケーブルが被覆が薄く使えそうだったので、重い腰を上げて自作します。
ケーブルのインピーダンスとは
簡単に図示すると以下のようになります。
R/L/C/Gによる数値によって、インピーダンス(交流抵抗)を表すことができます。
問題になるのは高周波領域が主になります。PCオーディオ関連では、LANケーブル(100Ω)・USBケーブル(90Ω)が該当します。
この伝送線路の特性インピーダンス:Zoはで以下の式で表されます。RとGが無視できるほど小さい(無損失)場合、特性インピーダンスは次のようなシンプルな式で算されます。
ということは、Lが小さくCが大きければインピーダンスが低くなるということです。
Lを小さくするのは無理があるので、Cで対応するのが適切です。
手に入りやすい普通の電線だと被覆が厚すぎてCが少ないので使えませんでした。高周波特性が良いテフロン被覆電線のジュンフロン電線も被覆が厚くて(最小0.15mm)150Ω程度でした。
そこでテフロン系の被覆が薄い単線が、今回使用する「銀クラッド高純度銅テフロン被覆単線」です。
ツイストペア線を作成・測定
電気ドリルを使って、銀クラッド高純度銅テフロン被覆単線を撚っていきます。
撚り具合でC成分が多少増減するので、軽めに撚ったものときつめに撚ったもの2種を作りました。
LCRメーター(DE-5000)で100kHzのCとLを測ります。
写真を撮り忘れたので、他のケーブルを測定した時の写真です・・・
DCR測定時の写真、5mで折り返した数値が0.04Ω(40mΩ)でしたのでまずまずです。
使用したLCRメーター DE-5000
周波数は100・120・1k・10k・100kHzまで測定可能です。
測定結果
撚りが緩い物が90Ω・きつめが87Ωとなりました。
USBのインピーダンス規定値が90Ω±5%ですので、問題ないと考えます。
緩めのほうがスペックに合致します。テフロンは誘電率は低いですが高周波特性はダントツに良いので、480Mbpsでもインピーダンスはあまり変わらないと思っています。
電源分離型ケーブル作成
USB2.0のケーブル作成なので、5V電源・DATA+・DATA-・GND・シールドの線が必要です。
銀クラッド高純度銅テフロン被覆単線のテフロン被覆は非常に薄いので、撚った後に熱収縮チューブを被せて、その上に銅網線をかぶせて最後にナイロン被覆を被せます。
GND線の銅網線と信号線のキャパシタンスを下げる目的と、静電対策(テフロンとナイロンで打ち消す)の意味もあります。(FB友の田村さんからアドバイスを貰いました)
熱収縮チューブ被覆
撚った銀クラッド高純度銅テフロン被覆単線に3mmの1/2収縮タイプの熱収縮チューブを被せます。収縮率が低いほうが皮膜が薄く柔らかいので、今回の用途に適しています。
150℃にセットしたホットガンで、なるべく均一に収縮させていきます。
空気が入りにくいように中央部から左右に熱を加えるのがコツです。
完成
銅網線に入れる
シールド用に銅網線に入れます。今回は手持ちの4mmの網線を使いましたが、できれば3mmのほうが納まりは良いと思います。
先端が通しやすいようにテープで留めておきます。
網をゆるめながら少しづつ通線します。
出力側のUSB-B側の電源供給側にファインメットコアを入れて3ターンします。
電源からくるノイズの防止用になります。
気休めです・・・・
1/4タイプの収縮チューブを確認で被せた所
ケーブル側が余ります・・・もう少しサイズを確認したほうが良いです・・
この後外しました。
USB-B側にハンダ付けしたところ
信号側もつないで納まりを確認したところ
アース線接続をどうするかを検討中です。
コネクターのハウジングを付けました。
なんとかこの構成なら納まりそうです。この後ばらして、アース線をハウジングに落ちるように変更します。
アース線の接続
アース線は、導通性のある接着剤が付いた銅テープを使うことにしました。
イモネジでハウジングと接続します。
今回はまだ検討している部分があるので、ここまでで記事にしました。
次回は完成と視聴をしたいと思います。
まとめ
念願だったインピーダンス整合が取れているUSBケーブルを作成することができそうです。
なかなか良い電線がなくて頓挫していましたが、2年越しで見つけられて喜んでいます。
記事の後ろに、使用材料などを載せていますので参照してください。
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