有線LAN環境で音が良くなるというRJ45用のXターミネータを作ってみました。
1000Base以上にも対応できるように8本の抵抗で作成します。音が少し良くなったと思います。
構想
上記をイメージ化した物が下図です。オレンジは51Ωの抵抗でXターミネーターで使います。
こちらは1000baseT側のトランシーバーのターミネートです。
Xターミネーターのアイデアは、かないまるさんのHPを参考にしました。2022年7月に永眠されました。ご冥福をお祈りします。HPも削除されたようで残念です。
作ろうとしている空き端子用のターミネーター
Xターミネーターを1000baseT側にも使用します。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/10/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC.png)
調べたらアコースティックリバイブさんでも同じようなものを出しています。
原理はかないまるさんと同じです。説明がちょっと大げさなのが・・・・
1000Base以上のLANコネクタ(RJ45)部の回路 TIの回路図参照
左側が回路側・右側がLAN側になります。通常はこのようにトランスで絶縁されていますので、アース対策はあまり必要ないかと思われますが、回路側のGNDがRJ45のコネクター外壁に接触しているのでSTPケーブルを使うとGNDが共通になり、逆にPCからのノイズが混入する可能性があります。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2022-12-22-132446.jpg)
必要な対策
振動
なるべく短く作りFRP補修樹脂で固めることにより、個別振動を抑える。
絶縁
FRP補修樹脂と熱収縮チューブにより絶縁を行う。
電磁波
抵抗部分をアルミシールドテープで覆い、LANコネクタも金属製で電磁波対策を行う。
ターミネータの整合性・反射防止
使用する抵抗は、事前に測定して、なるべく同じ抵抗値の物を使用する。
抵抗の足の長さを揃える。
なるべく短く作る。できればチップ抵抗で作りたかった・・・・
制作
抵抗の選別
LCRテスタを使い100kHzの周波数で抵抗を選別します。
上は50.9Ωから下は50.6Ωまでの誤差でしたので、中間の50.75Ω近辺の抵抗を選別しました。
高周波特性を考えるとチップ金属皮膜が良いのですが、うまく固定できなそうですのでリード付きの物を使用しています。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3923-1.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3924.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3926.jpg)
抵抗のリード長を検討します。曲げることも考慮して8mmとしました。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3928.jpg)
予備ハンダ
コネクター部と抵抗のリードに予備ハンダをします。
軽く万力で挟んで極少量のハンダを付けます。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3930.jpg)
抵抗が綺麗に付きづらいので、極少量のフラックスを塗布します。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3932.jpg)
ハンダ付け
ハンダ完了
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3933.jpg)
反対側をXになるようによじります。ここのLANコネクタはGNDが内部でクロスしてあるため、ターミネーターの接続が楽なのも採用理由です。1・2の裏側が3・6になります。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3934.jpg)
ごく少量のフラックスを塗布して、ハンダ付け
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3936.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3937.jpg)
切断面の銅が錆びるので、再度カバーするようにハンダ付け
切断して収まり具合を確認。接触もなく綺麗に収まりました。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3941.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3938.jpg)
接触や不良が無いかテスターで確認・特に問題なしです。
IPAでフラックスを除去・この時にコネクター側にIPAが漏れないように注意
フラックスが接点に付着すると接触不良になります。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3940.jpg)
振動対策
FRP補修材で抵抗が個別に振動しないように固めます。
こいつは10年程前に購入した物ですが、今でも使えるのは2液エポキシタイプならではです。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3942.jpg)
適当な紙などでA・B液をよく混ぜて塗布、その後なじませるために100℃のホットガンであぶります。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3943.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3944.jpg)
10分ほどで硬化しますので、10mmΦの熱収縮チューブをなるべく奥まで入れて、ホットガンで収縮
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3945.jpg)
電磁対策
電磁対策で、導電塗料付きのアルミテープで抵抗部分を覆います。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3950.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3948.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3949.jpg)
完成
LANコネクタ内に綺麗に収まりました。
再度テスターで確認をして接続します。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3946.jpg)
予備のコネクタが4個しかなかったので、コンソールは無にしました。後でコネクタを入れておきます。
CAST8のSTPシールドケーブルを使ってみましたが、大きく変わらなかったのでUTPケーブルに戻しています。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3953.jpg)
使用材料
使用材料は1個当たり1,000円もしません。
自分でハンダ付けができる人なら、制作して試すのも良いかと思います。
51Ω 1/4W 1% 金属皮膜抵抗
秋月電子さんの100本入りを購入
LANコネクター
AliexpressとAmazonは同じものでした。10日ほど待てるならAliexpressのほうが安いです。
GNDが内部でクロスしてあるため、ターミネータの接続が楽です。1・2の裏側が3・6になります。
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3954.jpg)
![](https://office-mos.com/wp-content/uploads/2022/12/s-IMG_3955.jpg)
LANコネクター
外装がすべて金属なので、放射ノイズに強いと思い採用しました。
VCELINK 圧着不要 RJ45コネクタ CAT6A、CAT7 LAN コネクタ ロードバー付き 爪折れにくい 配線簡単 再利用可…
FRP補修用エポキシ樹脂
振動ダンプ用にエポキシ樹脂で固めます。カチカチになるのと、後で削れるので使いやすい。
色は白色になります。
アルミシールドテープ
まとめ
大きく変わったところはありませんが、少し粒立ちが良く感じS/Nが上がったかなという程度でしたが良くはなったと思います。
材料は4個作って4,000円程度で修まりました。
今回は余っていたコネクタ作りましたので、ほぼゼロ円です!
LANジャック内の端子がプラプラしているのが抑えられますし、使用していないトランシーバ出力をターミネートできるので精神的にもGoodです。
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