LCRテスター DE-5000 高精度ケルビンクリップ タイプに改造1

LCRテスター DE-5000を購入して色々測っていたのですが、プローブが今一でチップ部品用プローブも品切れのため、Aliexpressからプローブ先端部を取りよせ安く改造してみました。精度も上がり使い勝手も上々で満足です。(DR-5000のリード別で500円程度で改造できました)

次回は2つのクリップを使ったテストリードも作成します。

ケルビンクリップとは

LCR測定や微小抵抗測定・電池の内部抵抗の測定を行うときや、リード線の抵抗や電圧低下などで誤差が無視できない場合にケルビン接続で測定します。電圧と電流を別々の経路で測定することによりテストリード等の影響が減少、この接続を行ったテストクリップをケルビンクリップと言います。

今回は、1つのクリップで作成するので、クリップの内部抵抗は加味されます。
左右のテストクリップで4線接続すると、リード線の影響をほぼ無視することができます。
また外部からの影響を減少させるために、シールドで内部導体を保護します。

原理などの詳細は「ケルビン接続 4線」などで検索すると詳しいHPに飛べます。

使用部材

ケルビンクリップ Aliexpressから取り寄せ
 分解できると思ったのですが、分解できず・・・赤と黒のケーブルを2個一にしようと思ったが無理・・・ケーブル留めがないのでケーブルが痛みそう・・今後検討

追記:中のばねを外せば、クリップの内部導体が出せるのを確認
   上下のクリップは挟み込みで無理をすると割れるため、これ以上分解はしない。

2芯シールド付きケーブル(カナレ  L-2B2AT) 50cm
外径3.2mmの2芯 アルミラップシールドケーブル
測定用のケーブル(シールドからのノイズが入りにくくする)のためアルミラップケーブル使用

DE-5000用 テストリード Tl-21
秋月電子さんより取り寄せ、チップ用の物が7月まで入手できない・・・
購入していたテストリードを改造

DER EE ELECTRICAL INSTRUMENT
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熱収縮チューブ 5mm径 赤・黒 50mm使用
 前回安いチューブをAmazonで購入

束線バンド 小 1本

スリーエム(3M)
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部材などの確認

各部材を作成する前に確認

ケルビンクリップ

クリップ部分は薄板をプレスしているのはなく、ブロック状なので抵抗は少なそう。
細かい部品を掴みやすいようワニ口は平らにし金メッキをする予定

外装はABS樹脂のようだ。傷もあるので見た目を大事にする人には向かない。
マイナスドライバーで分解を試みたが、はめ込みのようで分解不可だった。

かみ合わせ調整

かみ合わせが少しずれてたので、ラジオペンチで曲げて調整

内部接続用ハンダ部

持ち手の部分にハンダ接続部分があり、絶縁されたシールドで保護してあり素晴らしい。

内部のばねを外せば、導体を取り出せるので取り出してハンダ付けするのが良い。
ばねの抑えの絶縁に注意!

しかし、プラスチックくぼみにハンダ付けは難しい。周りに触りそう・・・
380℃くらいの高温で熱容量の大きい小手先で手早く付けなくては、プラスチックが溶ける可能性大
ケーブル抑えがないのが痛い、バンド通す穴を開けるか思案中

DE-5000用 テストリード Tl-21

表にアース線を接続する穴あり
裏側は、バナナプラグに刺さる部分があるが固定用でダミー
裏には刺すと上下が分離する基板があり、GND・-1・-2・+1・+2を接続
1mm厚の両面基板に金メッキ
ケーブルは2芯シールド線でワニ口クリップ部分で芯線2本を接続

しかし!テストリードが短すぎ・・・

内部の分解写真

後側のネジ2本と内部ネジ4本で分解可能

制作

製作図は以下の通り

2芯シールドを使い、ケルビンクリップの根元で合体しハンダ付け

TL-21の基板に付いているケーブルを外して、ハンダ付け
フラックスは高抵抗を測るときに問題になるのでIPAで綺麗に洗浄
接続部の金メッキ部も同様に洗浄

プラス側とマイナス側へのマーキング

極性がある部品の接続時は向きを間違えないよう、赤と黒の熱収縮チューブでマイナスとプラスを色分け

キャリブレーションの実施

オープンでCALキーにてキャリブレーション Pass

ショートでキャリブレーション Pass

ケルビンクリップのずれを測定

ショートでの測定

まずはリアクタンスRs 0.000Ω OK
Rsのsはシリアルの意味

リアクタンスLs 0.0uH OK!

インダクタンスCs 無限大 OK

周波数を100Hz-100kHzまで変化、同値

オープンでの測定

オープンでのRp O.L OK!
Rpのpはパラレルの訳

Lp OL. OK

Cp 0.1pF  最小限の浮遊容量 OK!

DE-5000に装着

ケーブル長を倍にしたので取り回しが楽になった。

実測

家にある積層セラミックコンデンサーを実測 956nF 問題なし

まとめ

ケーブルの長さを長くしたにもかかわらず、元のTL-21より精度が上がりました。多分アルミラップシールドのおかげです。
測定時に手を離せるのがとても便利で、1005サイズのチップ部品もはさめて紛失も減りそうです。

今後の作成構想

・赤黒のクリップを使用した精度の高いケルビンクリップ治具の作成
・ケーブルの留め方の検討
・先端の平滑化+DIY金メッキ
・コンデンサーを入り切りして、電池の内部抵抗が測れてキャリブレーションもできるケルビンクリップの作成

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