リン酸鉄リチウム電池(18650タイプ)放電試験での比較 

リン酸鉄リチウム電池(LiFePO4)は容量は通常のリチウム電池の半分くらいで、単セル3.2Vの電池です。特徴は安定度が高いため発火する危険性が少なく、かつ充電回数が3,000回を超えるので、DIYでは使いやすいと思い購入しました。大電流放電でどのような特性になるのかも実験してみたいと思います。

18650のリン酸鉄リチウム電池は、日本ではあまり売っていなくて高価なので、Aliexpressの「BTRHAKADI Battery 公式ストアー」から購入です(@300円程度)BTRHAKADIは日本などでも展開している中国のメーカーで本家での販売ですから、容量詐欺はありませんでした。

仕様

モデル: 18650-3.2v 1800mah
バッテリータイプ: LiFePO4バッテリーセル
標準容量: 1800mah
定格電圧: 3.2v
充電終了電圧: 3.65 v
放電終了電圧: 2.0v
標準充電電流: 0.5c
標準放電電流: 0.5c
最大連続放電電流: 3c
最大放電放電電流 (ロングパルス): 5c
サイクル寿命: サイクル寿命: 1 c/100% dod≥ 3000サイクル
充電温度: 0〜60 ℃
放電温度: -20〜60 ℉ c
バッテリー重量: 約50g

高機能充電器での充放電試験

高機能なXTAR充電器で、充放電試験を行います。

最小1861mAh最大1996mAhで優秀です。内部抵抗も30mΩ程度でした。

高機能放電機での試験

放電電流1800mAの定電流放電で試験を行います。
こちらもALiexpressから購入したDL24というロガー機能も持った150W対応の高機能な放電試験機です。

1800mAhでの試験

まずはCC「定電流放電」にセット・試験終了電圧2.1Vで試験を開始。完全放電電圧は仕様では2.0Vでしたが、他の資料では2.1Vだったので、2.1Vにしています。
ロガーの設定をミスしたので、ロガーのデーターはありません・・・

400mAh放電した時の表示

試験完了時の表示 ちょうど1時間で1813mAhでした。

10Aでの放電試験 1回目

次に実際に電動工具で流れる初動電流での試験を行います。最大放電放電電流 (ロングパルス): 5cを超えるのでダメージがあると思います。どの程度のダメージかを過負荷試験で確認します。
Cレートとは:時間率のことで、1Cの「C」は電池の公称容量(Capacity)を定格放電して1時間で放電終了となる電流値のことです(0.5Cなら2時間で放電終了)
終了電圧は2.1V・温度上昇が心配なので、温度センサーも取り付けます。

大電流を流すと、当初3.6V近くあった電圧が2.2Vまで低下して、その後2.4Vで頑張る感じになっています。cレートが低いこの電池は、大電流向きではないですが、電圧が低下してもここまで頑張るのは意外でした。

114mAh流した時の温度 22.4℃

591mAh流した時の温度 40.6℃

約11分で1834mAh流れて終了

温度は65.9℃まで上昇しちゃいました。実際には起動時に大電流が流れるだけで常時10Aが流れるわけではないので、大丈夫だと思います。

10Aでの放電でも1回目の電池の放電容量は減りませんでした。

10Aでの放電試験 2回目

10Aで完全放電した後に、常温まで冷まして再充電して放電試験を行います。温度上昇が電池にどのような影響を与えたのかを確認します。
6%くらい放電量が減少しました・・・
再充電したら1848mAhでした。

10Aでの放電試験  3回目

3回目の10Aでの実験です。
当初容量より9%くらい放電量が減少しました・・・
再充電したら1808mAhでした。

まとめ

今回購入したリン酸鉄リチウム電池(18650タイプ)は電動工具などの大電流を流す用途には向かないですが、性能的にはまずまずだと思います。
大電流を流すと2.4Vまで低下して、そこで頑張るのは 面白い特性の電池でした。

同時に購入したBMS(バッテリーマネージメントシステム)がまだ到着していないので、組み込んでの試験はこれからですが、長持ちしそうなので期待が大きいです。
ただBMSのFETで電流が制限されるので、動作しない可能性もありますが、12A用のBMSですので電動工具がうまく動くかも試験したいと思います。

ダメだった場合は充電は高機能充電器で充電して、工具には直結で温度ヒューズを入れておけば大きな問題はないと考えています。

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