旧松下電工製の電気振動ドリルドライバー・丸鋸・ランタンの電池であるEZT901・EZ9200が使用不能もしくは使用時間極少になってしまいました。もう純正は販売中止で手に入りません。
家には、EZT901が3個・EZ9200が2個・互換バッテリー1個がありますので、まずは使用不能なEZT901の電池交換をDIYでしたいと思います。
左がEZT901:容量1200mAh・ニッケルカドミウム電池(Ni-Cd)
右がEZ9200:容量3000mAh・ニッケル水素電池(Ni-MH)になります。
内部バッテリー交換はメーカーが推奨していない行為です。
この記事を読んで何らかの問題が発生しても自己責任でお願いします。
使用工具・材料
必須工具は先頭に★を付けてあります。
工具
★穴付きトルクスレンチ T10 :底面のネジ4本をはずために使用
電動ドライバー使用のため、安いビットセットを購入
ヘラ :裏紙の取り外しに使用 小さいマイナスドライバーでも代用可能
しなり具合とか硬さが絶妙なので私はこれ一択です。
★ラジオペンチ・ニッパー
小型のノミ :端子部のスポット溶接を外すために使用。小型マイナスドライバーでも可
ハンディスポット溶接機 :電池を接続するために使用(タブ付きでハンダ付けの場合は不要)
★半田ごて :端子部との最後の接続に使用
★1000番程度の紙やすり :端子の磨き用
メッキ工房 :腐食した端子のニッケルメッキに使用(端子を磨ければOK)
材料
★4/5SC ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池 PKCELL タブ付き電池
10個で2千円しなかったのでアマゾンで購入しました。
もっと大容量の電池に交換したかったのですが、高すぎて妥協です。
AliexpressでもSCタイプを購入していますが、こちらは届き次第電池の試験を行って問題なければ、交換したいと思います。こちらは安いのでちょっと危険かもしれません。
AliexpressでSCタイプを20個購入しました。
SCタイプNi-CDバッテリー サイズ: 4.25×2.2cm
容量: 3800mAh 溶接タブ付き・フラットトップ
充放電回数:1000回以上 低内部抵抗 低自己放電 過充電および過熱防止
この内容で20個送料込み3千円以下ですので、表記通りならスーパーお買い得です。
ニッケル板 厚さ0.2mm×幅8mm程度 20cm :電池を接続するために使用(タブ付きでハンダ付けの場合は不要)厚さが厚いとスポット溶接できない可能性もあるので、できる範囲で厚いニッケルタブ(電気抵抗を減らすため)を用意します。
0.2mmの適切なのが日本だと売っていなかったのでAliexpressより購入しました。
★両面テープ 10mm幅未満 組電池の上下に取り外した紙クッションの取付
★ハンダ 少量 : 端子部との最後の接続に使用
IPA(イソプロピルアルコール):端子部などの清掃用
作業
分解作業
電池の取り外し
背面の特殊ネジ(トルクスT10)4本を外す。
上下のプラ部分を引っ張って、電池を取り出す。
電池の端子などの取り外し
電池の端子部はサビが発生していました。この端子は+側の電池にスポット溶接してあり、厚さが厚いので取り外すのが第一の難関です。
電池の−接続部の線をハンダ付けしてある根元より切断・白いテープを剥がします。
四角い部品はサーミスター・温度上昇を確認しています。
この黒い部分に抵抗が2本入っています。
一番上の電池についている袴を外します。
難関の端子部・ニッパー・ヘラで端をおこしたらそこから小型のノミか−ドライバーで剥がします。
プラスチック部に力がかからないように注意
白・黒・青の線が電池の−タブにハンダ付けされているのでニッパーでカット
上部電池のタブもカットします。
端子部と配線が分離したところ
電池と端子部が分離しました。
電池の絶縁カバー・電池・端子部 電池以外は再利用します。
上下の絶縁シートの分離
残っていた残りの9本の電池の上部・下部に付いている絶縁シートをヘラで剥がします。
絶縁シートは再利用しますので、なるべく綺麗に剥がします。
電池容量が残っていると危険ですので隣の電池とショートしないように十分注意してください。
このように白い両面テープと絶縁シートの間を剥がすようにすると比較的安全です。
最後にもち上げながら両面テープを剥がしていきます。
絶縁シートが剥がれました。これを下部の絶縁シートにも行っていきます。
これで分解作業は完了です。
端子部の磨き・メッキ・予備ハンダ
ここのスポット溶接されていた部分など、接触分を紙やすりなどで錆や汚れを落とした後、IPAで清掃・脱脂を行います。
家の溶接機だと端子部のタブは溶接できなかったので予備ハンダをしておきます。
腐食してボロボロな状態でしたので、紙やすりで削ってからメッキをしました。
余り削りすぎると接触に影響がありそうでしたので、ほどほどにしておきます。
メッキ工房でニッケルメッキ・その後金メッキをしました。
メッキ後の端子 接触に問題ないくらいには復活です。
購入した電池の確認
購入した電池の電圧を全数確認します。組電池で直列接続ですので電池の内部抵抗のばらつきや、充電量のばらつきがトータルの性能に直結します。
本来であれば、高機能充電器で内部抵抗の測定・電池電圧のばらつきを修正すると良いと思います。
今回は充電器が来る前に電圧のみを測定して組み立てています。
電池は13.02V±0.01Vに収まっており優秀です。PKCELLは中国の中ではそこそこ大手だからですね。
重量測定
全部の電池を測定しました。33-34g内に収まっています。しかしPKCELLのスペックシートだと36gとなっています。
高さも4/5SCで既存の電池とピッタリです。
EZT901の回路図・レイアウト図
電池を外して、回路図・位置関係などを確認して図にしました。
電池の回路図
電池のレイアウト
上面から見たレイアウトです。上に乗せる電池は下側の飛び出た電池になります。
タブ付き電池でハンダ付けする場合は、タブの位置関係を合わせるようにします。
この図はEZT901の場合です。EZ9200の場合は−の位置が、反対側になりますので注意。
電池の組み立て
今回はスポット溶接機の確認もかねて作業をしたので、1個1個確認しながら組み立てました。
タブ無の物をスポット溶接するならば、最初に9個束にしたほうが綺麗にまとまります。
スポット溶接
スポット溶接をまず2個で行いました。
中間レベルだと強すぎて、ニッケルタブの色が変わってしまいました。
一気にタブを溶接 輪ゴムで大体の形にして、テープで止めるとまとまりやすいです。
チェック
電圧チェック 綺麗に13.02Vでています。
収まりを確認 問題なくスポっと入りました。
ケーブル接続
電池と接続するタブ双方を予備ハンダ・電池の−側を黒・白・青の配線とハンダ付けします。
上下の絶縁シートを貼付け
上下に両面テープを貼って、取り外した絶縁シートを貼ります。
組立
分解と逆の手順で組み立て、ハンダ付けします。
上側の端子部を先に中に入れて、キッチリはまってから組み立てに入ると楽でした。
今回はガタツキなどがなく綺麗に収まりましたがガタツキなどがあったら、エプトシーラーなどで抑えないと接触不良や電池が傷んでしまいます。
動作確認
電池単体で、ショートや間違いがないかを確認し、ランタンを分解して端子をテスターに接続して確認です。
充電はまだしていないのですが、放電試験を行います。負荷をかけた時、12.3Vでした。
ランタンの蛍光灯消灯電圧11.6V・約50分でまずまずの性能だと思います。
当初のEZT901で60分ですので、充電をしていなかったことを考えるとOKですね。
再度ONにしたら11・3Vまで動きました。
満充電後に再度試験をしました。約60分という結果ですので当初の性能が出ている感じです。
電気ドリルも元気に動きました!
まとめ
検討をしながら作業を進めたので3時間ほどかかってしまいましたが、作業のみでは1時間かからないくらいでした。
今回は自分で選んだNi-Cdで交換出来、性能もでましたので満足です。
昔、Amazonとかで販売している互換電池も使ってみましたが、3000mAh表記で1000mAhの性能も出ない、4-5回で大幅に使用時間が減るなどの問題があり、多分組電池の個々のばらつきが大きいやつかロットアウトした物を使っている感じでした。
今回はいろいろ調べているうちにスポット溶接機・電子負荷・高級充電器などを買ったので、マキタの18Vの電動ドリルドライバーが買えたくらいになっちゃいました・・・
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