耐熱の静電マットを購入

ハンダによる熱変形が今までの静電マットでおきていたので、耐熱で机全体を覆うくらいの静電防止マットを購入してみました。
耐熱で静電防止の大きいマットはあまりなく結構なお値段になってしまいましたが、最近の仕事でレーザーダイオードを扱うことが多くなり静電破壊が心配なので奮発しました。
US規格(ANSI ESD-S20.20・ANSI/ESD S-6.1)の要件を満たしているので安心できます。

静電マットの機能

導電性マットの特長と用途 モノタロウHP参照

人体などに発生する静電気を導電性マットでアースに逃がす機能を持っています。
人体は繊維などで擦れることにより簡単に帯電し、10kV以上の電圧を持つこともあります。

表面は急な放電などを防ぐため1MΩ-100MΩの抵抗を持ったシートが貼ってあり、その裏側に導電ゴムなどでアースに落とし静電気を防ぎます。

導電性マット

静電気対策を必要とする現場の作業用品です。

導電性マット

特長

  • 静電気が帯電した場合に素早くアースラインへ逃します。
  • 電性マットに必要な電気抵抗値「Ω」(オーム)は105Ω~109Ωで、この電気抵抗値が大きい程、電流が流れにくくなります。

用途

工場内の作業台や床、爆発危険箇所の帯電防止。

帯電防止マットとは

人体から発生する静電気を除去する二層構造のマットです。主にIC工場のフロア・作業台、電子部品の組み立て工場で使用されます。

静電気抑制導電メカニズム

静電気抑制導電メカニズム

注意事項

注意事項
  • ・表面に油膜や汚れが付着すると静電気防止効果が低下しますので中性洗剤などで汚れを拭き取ってください。
  • ・フロア全体を帯電防止床にしていない場所での作業では床と作業台、製品の保管棚にマットが必要です。
  • ・帯電防止床にしていても作業台の上や保管棚にはマットが必要です。
  • ・テーブルの上など、マット設置面が導電しない場合は、アース線を用いて静電気を逃してください。

前の静電防止マット

安いマットを使用していたために、はんだごてを落として焼いてしまったり、ホットガンで炙って使い勝手が悪くなったので、交換しようと思っていました。

静電気除去マット
フラックス・塗料等で色々なシミができ、はんだごての焼け焦げやホットガンでの浮き上がりなどが出来て使いにくくなりました。

旧導電性マット
旧導電性マット
旧導電性マット

新マット

色はグレーにしました。これで机にもマッチします。
今回は仮の机で奥行きが50cmですので机の奥で折り返しています。

新導電性マット

導電マットの裏側は導電性の高い黒いゴムになります。

新導電性マット 裏面

まとめ

導電マットで耐熱の物を購入してみました。グレーなので机の上が落ち着いて良い感じです。

実際に効果があるのかは実感としては沸きませんが、テストや制作時にトラブルが減少すると思われます。

昔、4000シリーズの初期のロジックICを扱った時は、基板に実装してあっても簡単に静電破壊して痛い目にあったことがあります。この導電マットを使えばそのような事態は避けられると思っています。

参考記事

電子工作 関連記事 まとめ
色々な電子工作を行ってきたまとめになります。オーディオ系が多いです。

参考資料

静電気放電(ESD : Electrostatic Discharge)とは

東芝デバイス&ストレージ株式会社 HPより参照

ESDとは異極性の電荷が帯電した物質が近接・接触したときに生じる電荷の放電を指します。

全ての物質は原子から構成されています。
この原子はプラスの電荷を持つ原子核と、マイナスの電荷を持つ電子からなり、電気的に中性になっています。
異なる物質同士の接触など何らかの要因によって電子が奪われるとプラスの電荷を持つプラスイオンとなり、電子が加わるとマイナスの電荷を持つマイナスイオンとなります。
これらはランダムに発生するわけではなく、物質によってプラスイオンやマイナスイオンになりやすい傾向があります。
この傾向を経験的に表したものが下図に示す帯電列です。これら正イオンと負イオンによる帯電が静電気の原因です。

帯電のしやすさ表

異なる物質を接触させると、一方の物質から他方へ電子が移動します。ただし、この接触した状態ではプラスイオンとマイナスイオンは釣り合った状態で存在しているので、静電気を見ることはできません。
この正電荷を帯びた物質と負電荷を帯びた物質を分離することで静電気として認識されるようになります。例えば、ウールのセーターの上にダウンジャケット(ポリエステルなど)を重ね着し脱ぐなどの動作をしたとき、パチパチと音がすることがあります。
ダウンジャケットを着ているときに、摩擦でダウンジャケットの電子がセーターに移動するためセーターは負電荷を帯びます。
一方、ダウンジャケットは正電荷を帯びます。その後、脱ぐときに帯電した電子の一部がセーターからダウンジャケットに放電(静電気放電)したことによりこの音は生じています。
図-1帯電列のマゼンダ(ピンク)の矢印線に示すポリ塩化ビニルと人毛の関係のように離れているほど帯電する静電気の電荷量は大きく(ESDのエネルギーは大きく)なります。
木綿のシャツを脱いでも静電気が生じることはほとんどありません。

静電気は言わばコンデンサーに電荷が蓄電されるのと同じです。従って、電荷を溜めないことが重要です。静電気を生じさせない対策としては以下があります。

金属の場合はアース(接地: Ground)をしっかりとる。
湿度を高くして物質表面のインピーダンスを下げる。
イオナイザーなどを用いて、帯電される電荷と逆の極性のイオンを空気中に充満させ中和させる。
電子機器の製造現場などでは、これらの対策を取り電子機器に静電気放電が加わらないようにしています。
ただし、これら対策を行っても、静電気を完全に防ぐことはできません。ICなどは静電気放電によって性能劣化・破壊などが生じないように入出力端子にESD保護回路を内蔵することが一般的です。
これらIC内蔵の保護回路は、静電気対策が行われた場所で発生する比較的小さな静電気放電(デバイスレベルの静電気放電)に対しては有効ですが、USB端子などを経由して加えられる静電気放電(システムレベルの静電気放電)に対しては十分ではありません。
日常生活では常にこのシステムレベルESDの危機にさらされます

ということで、デバイスレベルをいじるためには、静電気防止マットが必需品となります。

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