ポリプロピレンの熱溶着(電気ケトル修理)アイリス・オーヤマ IKE-1001

嫁さんが電気ケトルを落として、取っ手を割ったので修理しました。
当初ABSだと思っていたので、アセトンで溶かしてちょいちょいと思っていたのですが、なんとポリプロピレン!これは強敵です・・・

取っ手部分は嵌め込み式なので、常にテンションがかかり接着だと強度不足です。そこで熱溶着(溶接)を試してみることにしました。
2020/12/10追記
 ほぼ毎日使用していますが、割れたり弱くなったるすることがないので、熱溶着できちんと修理されたのが確認できました。

ポリプロピレンとは

ポリプロピレンは、酸、アルカリ、沸騰した水、鉱物油など、多くの薬品に対して侵されないという優れた耐薬品性を有している。化学式では(C3H6)nで炭素と水素から成る重合体(ポリマー)です。
略称としてPP(ピーピー)と呼ばれることが多く、生産量はポリエチレンに次いで第2位となっています。

ポリプロピレンの長所

ポリプロピレンの長所は以下の通りです。
・耐熱温度が高い(熱可塑性樹脂の中で)溶解温度は160度くらい
・比重が軽い(0.9)
・機械強度(引っ張り強度、圧縮強度、衝撃強度)が優れている
・表面は硬く、なめらかで傷がつきにくい
・耐薬品性(酸やアルカリなど)が優れている
・加工性が良く、射出成形や押出、ブロー成形など様々な成形法に対応できる
・安価に大量生産しやすい(成形法による製作)
・完全な光沢性の無色透明フィルムができる
・添加剤によって特性を向上することができる

ポリプロピレンの短所

逆に、ポリプロピレンの短所は以下の通りです。
・対候性が悪く、直射日光など紫外線による劣化が早い
・接着がしにくい
・印刷しにくい

Rextec参照

熱溶着準備

まずは、PPの溶着用の素材を探して、溶接棒的なものを作ります。
ちょうど肉まん用の暖め用の器が余っていたので使用します。端を細く切っておきます。

2021//2/5追記
ポリプロピレンの溶接棒が安く売っていましたので、こちらのほうが便利かもしれません。

次にリワークステーションで修理します。

これはAliexpressで約5千円で購入したものです。ACを使うので危険があるといけないなと思い、分解して確認をしましたが、問題ありませんでした。
今は、GootのPX-480をお勧めします。

修理開始

ハンダごてとホットエアーの温度を240度に設定し、裏側を溶かしてみました。まずまず大丈夫そうです。
そこで、仮止めとして仮組をして割れた裏面をハンダごてで、軽くなでて表面を溶かしていきます。
破片を全部仮止めしたら、今度は表面も同様に仮止めします。
その後、裏面から溶かした溶接棒で再度深めに溶かして、溶着していきます。

しかし、溶接棒と取っ手のPPの質が違うらしく、溶接棒のほうがあまり溶けない状態となり、表面に溶接棒を使うのを断念しました。
同じPPでも硬さが違うので、うまく溶け合いません・・・
裏面はもうガタガタでもいいので、溶接棒を無理やり溶かして着けていきます。

表面はしょうがないので、そのまま240度に設定したホットエアーを継ぎ目部分に当てます。
そうすると中の接合していない部分が割れて筋状になるので、ハンダごてで撫でて埋めていきます。
温度が高めなので、少し焦げが出て薄茶色になってしまいました・・・

なるべくハンダごてで平らになるように成型しますが、溶接棒が無いのでへこんでしまいました。

次からは素材の適合性を考えて溶接棒を用意すれば、もっときれいに行くと思います。

強度は曲げても大丈夫ですので、もうこれで行きます!
軽くやすりをかけて成型し、180-800までの紙やすりをかけて面倒なので今回は完了です。

取っ手が割れ目に沿って茶色い筋ができてしまいましたが、きれいに勘合したので良しとします。


つぎは、メーカーに問い合わせて部品を調達できるかトライしたいと思います。

2020/12/1追記
アイリスオーヤマに何度か問い合わせをしているのですが、なしのつぶてです。全く返事もきません。やはり安売り家電メーカーなので、面倒なのはPassなんでしょうね・・・

2021/2/14追記
やっと返事が来たと思ったら、部品は出せませんだって・・・
2か月以上待たせてこの回答は、さすがに・・・

2021/3/31追記
プラスチック溶接用の溶接棒は急に必要になるので、手持ちはあったほうが良いです。PP/PE/PVC/ABS の4本セットもう少し色があるとより便利です。

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