プラスチックの溶着用に溶接棒を購入します。
プラスチック製品の修理には、溶接棒がないと困る場合が多いですからね!
備忘録として以下を記載しています。
プラスチックの溶融温度 抜粋
種類 | 記号 | 融点(℃) | 耐熱温度(℃) | 分類 |
ポリ塩化ビニル | PVC | 85~210 | 60~80 | 熱可塑性樹脂 |
ABS樹脂 | ABS | 耐高衝撃性:100から110 耐燃性:100から125 GF充填:110から125 | 70~100 | 熱可塑性樹脂 |
ポリエチレン | PE | 低密度:95から130 高密度:120から140 | 低密度:70~90 高密度:90~110 | 熱可塑性樹脂 |
ポリプロピレン | PP | 168 | 100~140 | 熱可塑性樹脂 |
ポリスチレン | PS | 100 | 70~90 | 熱可塑性樹脂 |
プラスチック溶接棒の種類
溶接棒が存在するのは、熱可塑性(熱で柔らかくなる)プラスチックのみになります。
以下に各プラスチックの特徴・長所・短所・用途などを記載します。
PVC ポリ塩化ビニル(Poly vinyl chloride.PVC)
長所
全般的物性 強度、電気絶縁性、難燃性、耐候性、耐薬品性などに優れる。
安価に製造でき、着色しやすい。
可塑剤の配合により軟質から硬質まで自由に製造できる。
切削加工、溶接 · 接着 · 曲げ加工など加工全般にわたって行いやすい。
短所
耐薬品性では、有機溶剤に弱い (酸、アルカリには強い)
耐熱性が弱く使用温度範囲が狭い -20℃で脆化、65℃~85℃で軟化する。
耐衝撃性も不足
主な用途
硬質塩化ビニル
工業用・農業用の配管およびダクト、自動車の内装、建材(屋根の波板、テラスルーフ、窓枠、雨樋など)、文具、玩具など。
軟質塩化ビニル
農業用シート、電線被覆、合成皮革、合板表面のラミネート、住宅フローリング材、魚網など。
ABS アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン (Acrylonitrile butadiene styrene.ABS)
長所
機械的強度のバランスが良い3種類のプラスチックの機械的性質があらわれる。
• アクリロニトリル 耐熱性、機械的強度(剛性)、耐油性に優れる。
• ブタジエン ゴムの特性である耐衝撃性に優れる。
• スチレン 光沢性、成形性(加工性)、電気的特性が良い。
寸法安定性に優れる。
耐薬品性酸やアルカリには耐えるが、有機溶剤には溶ける。
加工性が良い各種成形加工(射出・押出・真空・中空・カレンダー加工)、切削、接着、溶接、
メッキ、塗装(あらゆる色に着色可能)など。その他
短所
耐候性はあまり良くない。 (長時間の日光照射で劣化)
可燃性である。 (難燃性グレードもある)
耐溶剤性が弱い。
主な用途
家電や電気電子製品の各種外装・筐体・機構部品類、
自動車などの内装部品、文具・雑貨類、事務用家具部材
PP ポリプロピレン (Polypropylene)
軽量で比重が小さい 0.93~0.96。多くのプラスチックの中でも比重の小ささはトップクラス。
長所
熱可塑性に優れている 成形性が良く、リサイクルも可能
繰り返しの折り曲げに強い ヒンジ特性に優れている。
食品衛生性に優れる 食品衛生法に適する。
強度が高く、耐薬品(酸、アルカリを含む)性に優れ、吸湿性が無い
短所
染色することが困難
耐光性が低い(紫外線による劣化)
接着性、印刷性が悪い
主な用途
建築・建設資材、家庭用容器類、おもちゃ、スポーツ用品、電気器具、カーペット、包装材料、繊維、文具、プラスチック部品、実験器具、スピーカーのコーン(振動板)、自動車部品、紙幣等
PE ポリエチレン(polyethylene)
長所
最も原料価格が安い。
吸水性がほとんど無いため防水性が高く、比重も軽い
絶縁性が高い
耐寒性が高い -20℃程度までならば耐える。
耐薬品性も高い。
短所
火や熱には弱い。
接着性が悪い
酸性やアルカリ性には弱い
種類
高密度ポリエチレン 比重 0.92 – 0.96、荷重たわみ温度 130 ℃ 以下。
低密度ポリエチレン 比重 0.91 – 0.92、荷重たわみ温度 100 ℃ 以下。
超低密度ポリエチレン < 0.9。
直鎖状低密度ポリエチレン 比重 < 0.94。
超高分子量ポリエチレン 一般に分子量150万以上。
主な用途
容器や包装用フィルム
まとめ
プラスチックの溶接について色々記載しました。届いたら溶融を試して評価してみたいと思います。
2022/3追記
届いて使ってみました。使い勝手もなかなか良くて問題なく溶接出来ました。
関連リンクも参考にして下さい。
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