ポリプロピレン(PP)の熱溶接(電気ケトル修理2)ティファール BF805

嫁さんが会社の電気ケトルが壊れたので直して!って言われて請け負ってきました。工賃材料費なしの下請作業です・・・ 見たら蓋を止めているビスのプラスチックの根元から折れてました。力がかかるところなのでネジを回しすぎてねじ切った感じです。裏側の見えない箇所で、見栄えを気にしなくてよいので簡単な作業です。

蓋を止めているビス穴の根元からぽっきり折れています。

材料・工具

プラスチック溶接棒セット(PP・PS・ABS等のセット)
 急ぎなら以下のセット・急がないならAliexpressが安い

温度調整半田ごて
新たに買うならgoot PX-480がお勧め
加熱スピードも速く高蓄熱で冷めにくい。

IPA(イソプロパノールアルコ―ル)
 無水エタノールだと飲用できちゃうので高くて揮発性が高いので洗浄しにくい。メチルアルコールも揮発性が高いが洗浄力は高く、安いが毒性が強い。
 毒性ではメチルが1とするとIPAが2・エチルが10となる。
 揮発性はIPAが最も低いので、吸い込みにくくふき取りもしやすい。
 洗浄力はほぼ横並びとなると

コスト・洗浄力・毒性のバランスを考えるとIPAがベストプラクティス

 しかし、Amazonだと高い・・・

作業

分解

作業をしやすくするために、蓋を本体から外します。

止めビスを2本外して、取っ手のプラスチック部をずらせば、簡単に外れます。

外した後、ラジオペンチとドライバーで折れたプラスチック部分を外します。

蓋とプラスチック部分を重ねると綺麗に重なりました。欠損がないと作業は楽です。

蓋の部分に>PP<と記載があります。これはポリプロピレンの略

溶接

位置決めをするのにマジックでマークを入れます。

ハンダごての設定は、200℃にしました。
プラスチック溶接専用にしている幅広の小手先に変えます。
水が垂れる部分なので、ハンダとかが付いてると気持ち悪いですからね。PPは熱湯でも溶けないので安心です。(耐熱温度140℃程度)
接着剤では全く強度が足りず、溶解する部分がある思うと気持ち悪い・・・

溶接棒が太目だったので、縦2本に割って溶接しました。
最初は仮止め用に小手先で少量の溶接棒を溶かして、破損部分に2点ほど止めます。

溶接部分が止まったら、外周を埋めていくように1周溶接します。
本体と溶接棒が溶け込むように溶接しないと強度が出ません。
さらに強度を増すために、リブ代わりに裾を盛り上げて溶接していきます。通常このようなネジでねじられるプラスチック部分はリブを入れるのですが、入っていません。設計が今一・・・

1周溶接完了 マジックで少し黒くなりましたが、見えない所なので問題ありません。

紙やすりで飛び出した部分を削って完了
 マジックのインキが溶けたので汚くなっちゃいました・・・・

清掃

水垢などが見えないところに付着していたのでIPAで清掃します。

組立

先に蓋を止めると上蓋が邪魔でしたので、中蓋だけでねじ止めします。

可動部分を先にはめ込み、持ち手の部分をはめてネジを止めます。

蓋を開けて上蓋をビスで止めます。

完成

最後にIPAで全体を掃除し、水拭きしたら完成です。

まとめ

初期のポリプロピレンの熱溶接は苦労しましたが、今回は温度調整半田ごてと溶接棒があるので簡単に作業が完了しました。
接着と違って同一材質を溶け込ませるので、強度も問題なしです。

今回の作業は約30分で清掃まで完了しました。

見える箇所だと平らにしたりするので時間がかかりますが、見えない箇所は楽ちんです。

しかし、嫁が外で吹いて修理ばっかり来ないように、釘を刺しておかなくては!

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